チベット問題に関する映画2本が、この3月に渋谷のアップリンクで公開されます。一つは「風の馬」という1998年製作の劇映画です。尼僧である従姉妹が、ダライ・ラマの肖像画の掲示を禁止した中国政府に抗議して捕らえられ拷問された事件をとおして、中国でのデビューを目前にした一人の女性歌手が、現実に目覚めていく姿を描いたもので、中国側の厳しい監視の中、チベットで撮影されました。
もう一つは、チベット蜂起で捕らえられてから、33年間、投獄、拷問という過酷な生活の中で、今もチベットの解放を求めて戦い続け、チベット問題を世界に知らせるために支援者と活動しているチベット僧パルデン・ギャツォを追ったドキュメンタリー映画「雪の下の炎」です。
この緊張する政治問題を扱った「雪の下の炎」の監督は、ニューヨーク在住の楽真琴(ささ まこと)さんです。先日、アップリンクで行われたマスコミ試写会の後で、監督のトークが行われました。ステージに登場したのが、1973年生まれという若い女性で、ちょっと驚きました。この日は、音楽活動をとおしてチベットの自由を求めて平和運動をしているミュージシャンの難
波章浩さんとのトークでした。
楽監督は、「チベット問題を世界の人々に広く知らせたいし、僧パルデンの姿をとおして“人権って何?”“生きるってどういうこと?”という人間の基本的なことについて考えてほしい。」「“チベット、チベット”だけでなく、パルデンの精神力も見てほしい」と語っていました。
昨年の北京オリンピックの聖火リレーが、沿道に並んだチベットとチベットを支援する人々と中国側との衝突を避けるために、厳重な警備の中で行われたことを思い出しました。世界各地のリレーでしばしば緊迫した状態になり、長野市での聖火リレーもルートを変更するなど、本来の目的を脱したものでした。パルデンの人生、中国の弾圧や、チベットの人々のダライ・ラマへの信頼を追っている映像を見ながら、あのときの背景には、こういう長く辛い歴史があったのかと思いました。
1949年、中国軍は「あなたたちを救いに来た」と言いながらチベットに侵攻しました。チベットにはウランなどの鉱石があったのです。中国政府はチベットを併合し、信仰を捨てるように強制し、伝統と文化を否定し、自由を訴える人や反抗する人を捕らえ、激しく拷問し、
死に追いやりました。チベット民族の解放を願わずにはいられません。
絶版となっていたパルデンの自叙伝『雪の下の炎』が、今年1月、プッキング社から復刊されました。また、難波さんが呼びかけて集まった、18組のミュージシャンによるCD「Song For Tibet From Japan」が、3月25日にリリースされます。
3月10日は、ダライ・ラマの宮殿があるラサ(チベット)で、人々が中国政府に抵抗して蜂起してから50年目にあたります。
画像:楽真琴監督(左)と難波章浩さん
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