9月23日の秋分の日に、毎年恒例の「あけぼの」講演会が、乃木坂の聖パウロ女子修
道会聖堂で行われました。35回目になる今回の講師は、2001年から「あけぼの」にアジアについての連載記事を書いてくださっている、山口道孝神父です。山口神父は、横浜教区の司祭として、小教区で司牧活動を行っている一方、以前は日本カトリック信徒宣教者会の事務局長として、現在は、東ティモール医療友の会副運営委員長として活躍なさっています。
アジア各国のことについて、縦にも横にも詳しい方だということが、お話を聞いて分かりました。つまり、各国の歴史にも、その国の現在の状況についても、本当によくご存じです。「あけぼの」講演会の前の日まで、ベトナムに行っていたそうです。
山口神父は、「ちいさなチャンタラ」(女子パウロ会刊)という絵本をお書きになりました。山口神父が、カンボジアの難民キャンプで働いていたときの体験から生まれたお話ですが、講演会はこの絵本の主人公であるチャンタラのお話から始まりました。
絵本には、家族を亡くしたショックで、話すことができなくなり、コミュニケーションがとれなくなったチャンタラが、次第に人との交わりと取り戻していく姿が描かれています。このことから山口神父は、「多くの人が、少しずつ気にかけることによって、子どもたちは立ち直ることができます。自分たちの国の先を考えるだけではなく、世界の将来を考える必要がある」と訴えられました。
チャンタラのお話は20年前の出来事ですが、今も、アジア各地には、同じような状況が続いているということです。カンボジアとタイ国境の近くにある難民キャンプでのこと、幼稚園の先生たちをタイに連れていったときのお話、インドとパキスタンにまたがる“NAGA”という地域の状況、北朝鮮の現在の人々の暮らし、そして日本の歴史……と、アジアについて、いろいろと話してくださいました。
最後に山口神父は、次の3つのことを勧めてくださいました。
1)いくつになっても、広い視野もって、人間と歴史に興味をもつ。
2)だれかが始めるのを待つのではなく、自分のできることから始める。
3)評価されることを期待しない。自分のやりたいこを進める。
司祭の中に、このようにアジアについて広い理解を持ち、実際に行動している方がいらっしゃることに、頼もしさを感じました。日本人がたくさん訪れるアジア各国ですが、華やかな観光の面だけでなく、その国が抱えている負の部分にも目を向け、近隣として共に歩んでいく意識を持ちたいものです。
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